Proof of X 2023を見に行ってきました
先日もこちらのニュースレターで紹介をした Proof of Xですが、Twitterなどで発言された、訪問者のコメントがさらに訪問者を呼び込む形で日々訪問者を増やし、25日に閉幕となりました。
主にブロックチェーンやスマートコントラクトの持つ特性をギミックに入れ込んだ思想反映型のアートというジャンルになります。運営者のNORIさんにコメントをいただきましたが、ブロックチェーン系の方だけでなく、アート系の方面からイベントを知る方も多く、お客様の層はとてもユニークな物になったようです。
私も土曜日に訪問させていただき、丁寧なご説明をNORIさんより頂き拝見しました。どの作品にもギミックが富んでおり深い楽しさが味わえました。
こちらの作品はNFTを活用した生命体の例です。NFTのメタデータである画像部分に定期的にかわいい生き物が訪問します。NFT所有者をなめらかに繋ぐということができないかと作者の方が発想された作品です。とても生き物が可愛いかったです。
こちらはFlowのCadanceのスマートコントラクトの例です。FlowのスマートコントラクトはNFTを扱うことを第1に考えられています。SolidityのNFTの扱いと異なり、Flow上でNFTはインスタンスとしてデジタル的な実体を持ちます。プログラム上はこれまでも存在してきた概念ですが、ブロックチェーンという公共コンピューター上でのインスタンスはまさに生命や物質と言った質感を感じさせます。
アートを深く楽しむにはその背景、文脈がとても重要です。Flowのその思想をすごくシンプルに表現した作品といえましょう。
これはまた難しい作品でしたw。説明文を読んだ限りでは理解ができない代物ですが、作成者の方に説明いただき深みを感じることができる面白い作品であることが理解できました。
こちらの作品はデーターを循環させている構造物です。データというのは何らかの物質変化により伝搬や保存が可能です。この作品では正面に見える筒の上下にスピーカーとマイクを繋げています。
データを音波に変えその筒の中に放出します。放出されたデータは反対側のマイクにより電気的データーに変換され、ブロックチェーンに書き込まれます。そしてまたマイクよりデータが送信されます。
何も起こらなければデータは普遍のまま筒の中を循環しますが、音波の状態で影響を受けるとデーターは変質します。
このデーターは手が届く状態で音波として脆い存在の状態が存在するというものなのです… この循環記録装置は停止をするとそこでデータの存在が消えてしまうので、会期中のみ空間に存在するデーターとのこと…
かげろうのような存在ですね。普遍的なブロックチェーンとこの脆い装置を組み合わせて見たところに面白みを感じています。弱々しいデーターの存在の生存記録となるのでしょう。
この石なんでしょうか?この石の中心には金属に掘られた秘密鍵が埋められています。そしてその秘密鍵で生成されたNFTコントラクトのアドレスが底面にきざまれています。そのNFTコントラクトは画像としてこの石を持ちます。
つまり
石はウオレットの所有権を持つ
ウオレットはコントラクトの所有権を持つ
コントラクトはNFTとして石の所有権を持つ
…
という形のトライアングルで所有権を表現したギミックです。さてこの石は誰のものでしょうかということを楽しむ仕掛けです。
この物理構造を作るために大きな石を割り、その中に金属板を入れまた封印するという石職人でも全人未到な作業をエンジニアの方が行ったという面白さもたまりません。
来年もきっと開催されるのでは?今年逃した方はぜひ来年訪問されてみてはいかがでしょうか?
今年の作品の小冊子はこちらから手に入れられます。私が紹介した以外にも面白い作品がいろいろありましたよと。